高めの血圧、そのままにしないで! 今すぐ血圧対策を始めよう

「血圧が高め」と気になりながらも、対策のために何をしたらよいか分からず、そのままにしてしまっている人も多いかもしれません。しかし、高血圧は多くの重篤な疾患の要因になります。放置せず、早めに血圧対策を始めましょう。普段の生活に取り入れやすい3つの血圧対策をご紹介します。
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記事 もくじ
1.血圧対策が必要な「高めの血圧」とはどのくらいの数値を指すの?

※家庭血圧の場合は全てマイナス5mmHgで評価します。

➁ 正常高値血圧(ノーマルゾーン)…上の血圧が120~129mmHgかつ、下の血圧が80mmHg以下
➂ 高値血圧(イエローゾーン)…上の血圧が130~139mmHgかつ、または下の血圧が80~89mmHg
➃ I度高血圧(レッドゾーン)…上の血圧が140~159mmHgかつ、または下の血圧が90~99mmHg
➄ Ⅱ度高血圧(レッドゾーン)…上の血圧が160~179mmHgかつ、または下の血圧が100~109mmHg
➅ Ⅲ度高血圧(ドクターゾーン)…上の血圧が180mmHg以上かつ、または下の血圧が110mmHg以上
⑦ (孤立性)収縮期高血圧…上の血圧が140mmHg以上かつ、下の血圧が90mmHg未満
この分類の「➁ 正常高値血圧(ノーマルゾーン)」と「➂ 高値血圧(イエローゾーン)」は、対策が必要な「血圧が高め」の状態で、➃~⑦は「治療が必要な高血圧」です。
※なお、上の血圧が90mmHg未満の場合は低血圧ゾーンです。
<血圧が高めとは>
高値血圧(イエローゾーン)
上の血圧が130~139mmHgかつ、または下の血圧が80~89mmHg。上が130台、下が80台は高血圧とは診断されないものの、「血圧が高め」としてケアが必要な数値です。見過ごされがちですが、イエローゾーンは正常な血圧とはいえない「高値血圧」に分類され、これ以上高くならないように、特に注意が必要なレベルだと認識しましょう。
正常高値血圧(ノーマルゾーン)
上の血圧が120~129mmHgかつ、下の血圧が80mmHg以下。このゾーンは正常血圧の範囲内ですが、正常血圧の「安全ゾーン(120/80mmHg未満)」を超えると、動脈硬化や腎臓病のリスクが上がってきます。上か下の血圧のどちらか一方でもこのゾーンに入るようなら、生活習慣の見直しが必要です。
2.今すぐ変えられる3つの生活習慣対策で、高めの血圧をケア
健康診断などで「血圧が高め」といわれたら、すぐに「3つの生活習慣対策」を始めましょう。血圧が高めということは、今の生活習慣に何らかの原因があるということ。難しいことは必要なく、今の生活を少し変えるだけでも効果が期待できます。
高めの血圧対策① 「NO(一酸化窒素)」を出す血流アップ生活

NO(一酸化窒素)とは「血管若返りガス」
高めの血圧対策で、ぜひ味方につけたいのが「NO(一酸化窒素)」です。血管の柔軟性を取り戻すガスとして注目されているNOは、体のあらゆる場所で産生され、体の機能を正常に維持する働きがあります。中でも血管の内皮から産生されるNOは、硬くなった血管を軟らかく広げ、血圧をコントロールする役割があるのです。しかし、NOの産生力は残念ながら加齢と共に低下してしまいます。
NOは血液が血管の中を流れる時に血管の内側(内皮細胞)に与える刺激「ずり応力」によって産生されます。血液中に産生されたNOはわずか3~6秒で消えてしまうため、NOをたくさん産生するには、絶え間のない「血流アップ」が鍵なのです。
血流がよくなれば、血液が常に血管を刺激するため、年齢に関係なく、より多くのNOを産生し続けることができます。
NO(一酸化窒素)の簡単アップ術
何も対策を取らなければ、NO産生量は年齢と共に落ちていきますが、生活習慣を見直すことで、比較的簡単に増やすことができます。できることから少しずつ始めてみましょう。
(1)ぬるめのお風呂にゆっくり入る
入浴は医学的にも効果が確認されている血流アップ法です。39~41℃のお湯に約20分間(10分間を2回でもOK)浸かって体を温めましょう。体の隅々まで血液が流れると、血管の内皮細胞が刺激されてNOを産生します。ただし、湯の温度が42℃を超えると逆効果に…。また、心臓に負担がかからないよう、半身浴がおすすめです。肩や首を冷やさないようにタオルをかけ、保温しながらゆっくり入るのがコツです。
(2)関節ストレッチ
手首や足首、ひざ、ひじなどの関節を回したり、曲げ伸ばししたりするだけでも、NOの産生はアップします。特に関節の中でも、筋肉量の多い「ひざ」を動かすと、NOがたくさん産生されるのでおすすめです。
(3)1分正座→30秒足踏み

(4)座りっぱなしはNG
座り始めてわずか1分で血流は停滞し始め、10分間座っているだけで、血流は40%も低下します。デスクワークが多い人は、座りながら足先を動かす、こまめにトイレに行くなど、対策しましょう。
さらに、足を組むのが癖になっている人、パソコンやスマホをのぞきこむ猫背の姿勢の人も、血流が滞り、高血圧のリスクが上がります。血流が悪くなるとNOの産生もストップしてしまうので、足組みはやめ、猫背の人は背筋を伸ばすように意識しましょう。
高めの血圧対策② 「塩は摂ったら出す」食生活

(1)市販の食品の塩分に注意し、減塩調味料やハーブなどを活かす
日本高血圧学会では、高血圧の人は男女共に1日6g未満の塩分摂取を推奨していますが、例えば市販の即席ラーメンには5.4g、コーンスープは7.1gの塩分が含まれています。市販の食品はパッケージ裏面の成分表示などを確認し、注意して摂るようにしましょう。
自分で料理する時は、減塩タイプの調味料や、薄味の料理にメリハリをつけられるハーブやスパイスなどを活用してみると、減塩中もおいしく食べられます。
(2)カリウム+αを摂る

※カリウムを多く含む食品について詳しくはこちら
牛乳やヨーグルトに多く含まれるカルシウムにも、過剰な塩分を排出させる効果があります。塩分を摂り過ぎたと思ったら「牛乳を1杯飲む」「ヨーグルトを意識的に摂る」ようにしましょう。
ヨーグルトなどを積極的に摂って腸内環境を整えることも、適正な血圧コントロールにつながります。さらにヨーグルトなど発酵乳に含まれる乳清由来の「ラクトトリペプチド」には動脈硬化を防ぎ、血管をしなやかにしてくれる働きがあるので、ヨーグルトは、血圧高めの人が毎日摂りたい食べ物の1つです。
高めの血圧対策③ 「自律神経」を整える生活
緊張やストレスで交感神経が優位になると、血圧はどんどん上がってしまいます。ストレスを感じた時に、すぐにできる呼吸法を身に付けておきましょう。
(1)緊張・ストレスによる血圧上昇を止める
ストレスがかかると、人は無意識のうちに呼吸が浅くなります。そんな時におすすめなのが「片鼻呼吸」です。

次に、右手の親指で右の鼻を押さえ、左の鼻からゆっくり息を吸い込みます。息を吸いきったら、一度両方の鼻をつまんで息を止め、そのまま数秒キープ。次に、右の指だけを外し、右の鼻から細く長く息を吐き出します。
全て吐ききったら、再度息を止め、今度は右の鼻から息を吸い、左の鼻から息を吐きます。これを2~3回繰り返します。
(2)睡眠を変える
忙しい人ほど睡眠時間を削りがちで、平日は十分な睡眠時間を確保できない人は多いでしょう。休日に“寝だめ”をすれば、寝不足をカバーできるかというと、そうではありません。短時間睡眠も寝だめも体への負担が大きく、血圧にとってはNGな習慣です。
また、40歳を超えたら「寝すぎ」も禁物。体内時計のリズムを崩さないよう、自律神経を整える7時間程度の適度な睡眠が理想的です。
また、良質な睡眠を得るには、寝る姿勢も重要です。おすすめは気道を確保しやすくなる横向きの姿勢。横向きで眠ると、寝ている間も多くの酸素を取り入れることができます。
なお、血圧高めの人は、寝起きはすぐに体を起こさないようにしてください。朝、すぐに起き上がると、血圧が急激に上昇する可能性があります。布団の中で背伸びをするなど、体を少し動かすことで、血圧の急上昇を防げます。起きる時も反動をつけず、ゆっくり体を起こしましょう。
まとめ
高血圧は早く見つけて早く対処すれば、数値の改善が期待できます。高血圧を招いている今の生活習慣を見直し、行動を少し変えれば、その結果は体に現れます。ご紹介した高めの血圧対策法を参考に、できることから取り組んでいきましょう。